白戸麻奈句集『東京の地下鉄』(ばびろんのちかてつ)。
著者の白戸麻奈(しらと・まな)さんは、1969年東京生まれ、現在は東京・調布市在住。2012年に「紫」に入会、2014年「紫」同人、2017年に「紫賞新鋭賞受賞」を受賞されている。現代俳句協会会員。本句集に「紫」主宰の山崎十生氏が序文を寄せている。
山崎十生主宰は、「私が唯一声を大にして言えるのは、白戸麻奈の句集は、本シリーズ参加の他の句集とは異質と云うことである。」とその序文に書く。確かに句集名「東京(ばびろん)の地下鉄」も異色である。「東京」を「バビロン」と読ませるその思いを直接には白戸さんに伺っていない。
本句集の色は紫色。
CF0451番。
ダンディでノーブルな色とある。
本句集との取り合わせが面白い。
落ち着いて読める色である。
装丁は和兎さん。
見つめあうネズミとネズミ網戸越し
この句も好き。だって可愛らしいじゃないの。想像しただけでウルウルしてきてしまう。可愛いなあ。「網戸越し」っていうのがいい。相手の姿がみえ、その息づかいを感じることもできるし、わずかに触れ合うこともできる。しかし、隔てられているのだ。切ないなあ。。しかし、わたしはこういう切なさはかなり好きである。
(ふらんす堂「編集日記」2018/9/7より抜粋/Yamaoka Kimiko)