池田澄子句集『思ってます』。
46判ソフトカバークータバインディング製本 210ページ。
俳人・池田澄子(いけだ・すみこ)の第6句集である。
句集名は「思ってます」。
ちょっとドキッとするタイトルであり、なかなか意味深である。
装幀は和兎さん。
白い本であるが、赤を思わせるものとなった。
風合いのある用紙に、文字だけのシンプルなデザインである。
「思ってます」というタイトルにパール箔を押した。
それが効果的であるかどうかは、手にとった方の判断だ。
背の文字は、スミに赤を交ぜた色にしてこちらもパール箔。
見返しは真紅。
表紙はカバーと同じ用紙を用い、背のみ赤で印刷。
平面は、あえて何も印刷せず。「タイトルが意味を持っている言葉なので、シンプルに」というのが和兎さんの弁。
扉は、見返しと同じ真紅の用紙に白で印刷。
造本に凝った。
クータバインディング製本である。同じ赤が本を一周しているように見える。
この製本は喉の開きがよくて読みやすい。
背に色が見えるというのがおしゃれでしょう。
本文も外側に合わせて白い本文用紙を用いた。
この用紙は軽いのがいい。
シンプルさを希望された池田澄子さん。
華やぎを秘めたシンプルな一冊となった。
外側はややクールに、内側は熱く、というのが和兎さんのはからい。
河童忌と聞いてそうだったと思う
という一句が収録されているのだが、本句集の発行日7月24日は河童忌である。偶然だったのであるが、そのこともまた、池田さんは喜んで下さったのだった。
少女期ありき蚕の冷えを怖れたる
個人的には「アマリリス」の句がとても好きであるが、この一句、「蚕の冷え」でかつて少女であったわたし自身の遠い肉体が呼び覚まされたような感覚を持った。蚕の冷えが少女の子宮と繋がっているような、ちょっとゾクゾクするような感覚がある。惹かれる一句だ。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/8/9より抜粋/Yamaoka Kimiko)