真野紀子句集『時』(とき)
四六判ハードカバー装帯あり 122頁 二句組
遺句集である。著者の真野紀子(まの・のりこ)さんは、すでにこの世にはおられない。昨年の1月30日に亡くなられたのだった。享年75。本句集は、生前に真野紀子さんより句集上梓を託された俳人の高柳克弘さんによって編まれたものである。
真野紀子さんは、平成27年〔2015〕早稲田大学エクステンションセンター中野校で「俳句講座」に参加された。その時の俳句の指導者が高柳克弘さんだった。この参加をきっかけに亡くなるまで句作りに励み、それが今回このような一冊のかたちとなって世に生まれたのだった。若き師の俳句指導に熱心にその情熱を傾けられた真野さんは、ご自身の思いもかけない病をしり死を覚悟された、そして句稿をすべて高柳さんに託したのだった。本句集には、巻末に高柳さんの「あとがきにかえてーー紀子さんの夢の花」が収録されている。
本句集の装釘は君嶋真理子さん。
上品な一冊となった。
真野紀子さんのように気品のある華やかさ。(合ったことはなかったけれど、きっとそういう方だ)
淡い紫を感じさせる一書である。
銀箔の文字。
透明感のある地模様の見返し。
扉。
花布は紫と白のツートン。
栞紐は肌色。
(ふらんす堂「編集日記」2021/6/4より抜粋/Yamaoka Kimiko)