南惠子句集『花野の風』。
著者の南惠子(みなみ・けいこ)さんは、昭和22年(1947)石川県金沢市生まれ、金沢市在住。平成元年(1989)「風」入会、平成9年(1997)「風」同人、平成13年(2001)第37回犀星俳文学賞受賞、平成14年(2002)「風」終刊後の平成16年(2004)に「風港」創刊同人、平成20年(2008)第5回風港俳句賞受賞、平成21年(2009)「りいの」創刊同人。本句集は平成元年から26年までの26年間の作品を収録した第1句集である。
「風港」の千田一路主宰が序文を寄せている。
肩の雪ふり落としたる年賀客
鏡花の像めがねにかかる春の雪
校倉へ匂ふ大山蓮華かな
涼風を入れて細身の百済仏
手に掬ふ須磨の真砂や冬うらら
桐の花貨車に秩父の土載せて
緑さす救世観音の宝珠かな
緑さす二坪ほどの礼拝堂
風に乗るウインナーワルツ聖五月
母のもの一つ身につけ花を見に
ちちははの墓にも雪の別れかな
本句集の集名「花野の風」は、
呼ぶ声の花野の風にまぎれけり
による。
装釘は君嶋真理子さん。
グラシン巻の瀟洒な出来上りをというのが、南惠子さんのご希望だった。
グラシンで巻かれているのですこしぼけてしまったが、タイトルは金箔押し。色合いも大人の落ち着いた色合いを選ばれた。
落ち着いたシックな一冊となった。
著者の南惠子さんはとても喜んでくださった。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/6/23より抜粋/Yamaoka Kimiko)