関根千方句集『白桃』(はくとう)。
四六判ハードカバー装。152頁。
著者の関根千方(せきね・ちかた)さんは、1970年東京生まれ、現在は東京・杉並区在住。2007年に俳句を学びはじめ、2008年に「古志」に入会し長谷川櫂に師事。2010年「古志新人賞」を受賞、2012年「古志」同人、2015年「第10回飴山實賞」を受賞されている。本句集は第1句集。長谷川櫂氏が序句を寄せている。
ご友人であるデザイナーの宮嶋章文氏の手による装釘もまた清新である。
カバージャケットは、ちょうど桃の手触りのような用紙を用いて、タイトルはツヤなし銀箔で押した。
カバーはやや本の高さより20ミリほど低くし、表紙の濃紺がみえるようにしてある。
そしてこのカバーにおかれたタイトルや名前、俳句、版元名などの文字、桃のような月のような図、それぞれが美しく配されてそれがひとつの宇宙をわたしたちに思わせるのだ。
不思議な時空である。
表紙の紺と白のカバーとの対比もあざやかである。
見ていても飽きが来ない。
カバーをとりさると紺の表紙があらわれる。
桃のような花びらのような小さな丸が型押しされ、あとはツヤなしの銀箔である。
角背が若々しい印象をあたえる。
見返しは、表紙よりややあざやかな青。
この青は華やかさがある。
花切れとスピンはピンク。
このピンクが「白桃」という句集名になんとも効果的である。
男性の句集にピンクを配するのはなかなか難しいが、これは心憎い演出である。
句集を編むということに対する繊細な配慮がすみずみにまで行き渡った洗練された一冊となった。
40代の男性俳人の清爽な句集である。
(ふらんす堂「
編集日記」2017/4/13より抜粋/Yamaoka Kimiko)