2025.3.10 ひなぎくに八十と九の闇ありぬ
2025.3.9 潮に熨すイグナティウスの春衣かな
2025.3.8 鱗屑を背におぼろ夜をおよぐなり
2025.3.7 ミラー越しもうひとつ在る岬に蝶
2025.3.6 青信号淡き春日の流音奏
2025.3.5 鐘が鳴る シャボンの玉が空を吞みこむ
2025.3.4 婚礼の日の流木に泡立つ蝶
2025.3.3 レタス食み無言で過ごすひとときの
2025.3.2 彫り跡にオトメツバキの微睡む夕
2025.3.1 うららかや雲母の縁のほろり崩ゆ