天命を楽しむ2023.12.25

 

池澤正夫句集『天命を楽しむ(てんめいをたのしむ)』

 

 

四六判ハードカバー帯有り 150頁 
著者の池澤正夫(いけざわ・まさお)さんは大正15年(1926)生まれ、今年で97歳をを迎えられた。本書はその池澤さんの俳句と文章を収録したものである。池澤さんは東京・深川生まれ、現在は江東区森下在住。東京高等師範学校・東京文理科大学を卒業後、教育者としてその道を歩んできた方である。東京都立高等学校長を歴任ののち退職。その後は東邦音楽大学の教授、NHK学園で漢詩や俳句の講師をつとめられた。

 

本書の装幀は、君嶋真理子さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白の紬風な布クロスに繊細な型惜し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巻末には口絵写真として池澤さんの思い出の写真がちりばめられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、本書を特徴づけるものとして、「正夫の下町すごろく」という見開きの頁がある。
池澤さんが直筆でかいた「下町案内図」である。
が、ただの図ではない。
下町の知識を総動員して言葉遊びなどを入れながら下町の背景にある文学的知識と情報をとりこんでいる。

 

 

 

 

 

こんな感じである。
印鑑をおいたのは、文字の細やかさをみてもらうため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浅草いろはかるた」もあって、たとえば、
い 今はずかし隅田川の白魚
ろ 六区に偲ぶロッパ・エノケン
は、橋のたもとの駒形堂
~~
ん 運は大吉おみくじ一本
久保田万太郎や子規などの俳句、川端康成の「浅草の九官鳥」の一節、などなど遊びこころ満載の膨大な知識を駆使した「下町案内」である。

 

 

 

 

 

(ふらんす堂「編集日記」2023/12/18より抜粋/Yamaoka Kimiko)

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