岸孝信句集『ジタン・カポラル』(じたん・かぽらる)。
四六判仮フランス装カバー装。198頁。
著者の岸孝信(きし・たかのぶ)さんは、昭和23年(1948)兵庫県西宮市生まれ。平成12年(2000)「鷹」入会、平成16年(2004)「鷹」同人、平成18年(2006)「鷹新葉賞」受賞、平成25年「鷹俳句賞」を受賞。本句集は藤田湘子選、小川軽舟選を経たこれまでの作品を精選した第一句集となる。小川軽舟主宰が序文を寄せている。
集名の「ジタン・カポラル」とはフランスの煙草の名前。
ジタンは、フランスで最も一般的であり”ゴロワーズ”と人気を二分する”煙草”のブランドである。
ゴロワーズも鮮やかなブルーだが、ジタンよりも淡いブルーだ。ふらんすの労働者が吸う煙草であると教えられた。ジタンは、ゴロワーズよりすこしお洒落な感じがする。
そして岸孝信さんは、句集の色としてもこのジタンの青にこだわられたのだった。
美しい青だ。
著者の希望される「青」をみつけて装幀をしたのは、和兎さん。
帯をかけられた表紙。
透明紙をまき、煙草のけむりをながした。
もちろん、ジタンの煙として。
この煙をどう演出するか、和兎さんはすこし頭を悩ませたらしい。
表紙は銀刷り。
見返しは白とグレーの淡いマーブル模様。
スピンはグレー。
扉は黄土色に墨刷り。
なにゆえ黄土色なのかを和兎さんに尋ねたところ、煙草の草の色ということ。
ジタン・カポラルにふさわしい青を得た本句集は、著者の岸孝信さんにふさわしくハイカラで知的な仕上がりとなった。
著者も喜んでくださり、わたしたちもこの一冊を得たことを喜んでいる。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/7/29より抜粋/Yamaoka Kimiko)