董振華句集『聊楽』(りょうらく)。
四六判ハードカバー装 188頁
著者は董振華(とう・しんか)さん。中国北京出身。平成8年(1996)に慶應大学に留学しているときに金子兜太に師事し俳句を学びはじめる。平成10年(1998)「海程」同人。「海程」終刊後、「海原」同人。日本中国文化交流協会会員、現代俳句協会会員、中日詩歌比較研究会会員。句集に『揺籃』『年軽的足跡』『出雲駅帖』など。そのほか随筆集や訳書など。また映画の脚本や漫画なども多数訳されている。本句集は平成30年(2018.10.10)に一度中国にて刊行されたものをすこし手を加えて刊行し直したものである。題字と序文(「序に代えて」)は金子兜太氏によるものである。
なおこの日本語で書かれた句集にはすべて中国語の訳が付されている。兜太氏の序文も董振華さんが中国語で訳している。
こんな風に。
本文もまたそうである。
董さんの「あとがき」には、金子兜太ご夫妻と董振華さんとのあたたかな交流が書かれている。ご夫妻にとても可愛がられた董さんなのである。
そして、第4句集のために、句集の題字と序文をいただくことができた董振華さんであったが、その時に中国にいるお母さまの病気が発覚して、句集を出せないままに時が過ぎていく。そして去年の2月に金子兜太氏逝去。その後中国人の友人たちによって編まれたのがこの第4句集『聊楽』である。
この句集をあらためてもう一度日本で出版し直したのが、本句集『聊楽』なのである。
「ふらんす堂さんで美しい本に仕上げて欲しい」と董振華さんはご来社のときにおっしゃったのだった。
そしてあらためて校正をし直し、間違いを指摘し、句を追加し、本句集の出来上がりとなったのである。
本句集は四季別で編集されている。
本句集の装幀は和兎さん。
董さんの思いを聞きつつ、甘くならないような装幀を心掛けた。
梅がモチーフになっているが、なかなかハードな仕上がりになったのではないだろうか。
題字はツヤ消しの金箔で。
この写真ではわからないが、この梅にはブルーが隠れている。このブルーがなかなかいいのである。
表紙は今日の写真のような白梅の白。
箔押しはツヤ消し金。
見返しは、カバーのブルーの色をとって青。
扉。
カバーの折り返しに董振華さんの近影と略歴をいれた。
異国の言葉の俳句を学び、格闘し、なおもより深く俳句を知ろうとしている董振華さんの句集が読まれることを願っている。
(ふらんす堂「編集日記」2019/2/25より抜粋/Yamaoka Kimiko)