気化2025.4.25

 

手塚敦史詩集『気化(きか)』

 

 

 

A5判変形仮フランス装カバーなし ラベル貼り 86ページ
詩人・手塚敦史さんの新詩集である。前詩集『球体と落ち葉』(書肆子午線)より8年ぶりの詩集の刊行である。
7冊目の詩集となるのだろうか。
ふらんす堂からは、『詩日記』(2004)『トンボ消息』(2011)『おやすみの前の、詩編』(2013) 『1981』(2016)の詩集を上梓されている。

 

 

 

 

 

本句集の装釘は、手塚敦史さんによる自装である。
詩のことばと同様にきわめて繊細な感覚でなされたブックデザインである。

「気化」という黒文字のタイトルは、あえてラベルにすこしかかるようにというのが希望された。

 

 

 

タイトルと名前はマットの黒の箔押し。

 

 

 

 

見返しは「くち葉いろ」
扉は漆黒の用紙で、青インクで印刷。
この「青」は鮮明になるように一度白で印刷し、その上に青を載せている。

 

 

この扉には、じつはニスで集合写真のひとたちの輪郭のみが刷られている。
ほとんどわからずに読者はとおりすぎていってしまうが、ページをひらいたとき、光の加減でかすかに浮き上がるのである。
それも手塚敦史さんのつよいご希望だった。

 

 

 

 

余白をいかした美しい文字の配分。
すべてが、手塚敦史という詩人の美意識によって構築されたものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふらんす堂「編集日記」2025/4/16より抜粋/Yamaoka Kimiko)

 

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