田中俊尾句集『登富貴村(とぶきむら)』
46判ハードカバー装 234頁 二句組
著者の田中俊尾(たなか・としお)さんは、昭和2年(1927)東京都南多摩郡加住村戸吹に生まれ、平成29年(2017)90歳で亡くなるまで生涯をこの戸吹で過ごした方である。昭和24年(1949)より「馬醉木」に所属、その後「馬醉木」同人、「鯱」同人。「俳人協会会員となり、NHK学園講師を始め、地域、施設等の俳句講座を担当し、精力的に指導を行う」と略歴にある。本句集は、第1句集『絹の道』(平成13年刊)後の俳句を収録したものであり、ご本人がまとめるつもりで「あとがき」も書かれていたものを、ご子息の田中俊光さんが句を選び、「附記」を記して遺句集として刊行されたものである。俊尾さんの「あとがき」には、第三句集「黄泉路」刊行の思いもあったものを、本句集で「黄泉路―登富貴村以後」の章立てをして収録したとある。
本句集は、田中敏光さんのご尽力によって刊行の運びとなったが、句集を拝読すればわかるように、俊尾さんの子どもたち、孫たち、曾孫たちの思いがひとつとなって実現した句集である。
家族愛にあふれた一冊である。
わたしがとくにいいなあっておもったのは、ときどき俳句のところに落書きのように描かれた絵である。
たとえば、
もっともっと紹介したいところである、こんな感じに楽しい絵がところどころに登場するのである。
曾孫さんたちが、ひいおじいちゃんのために描いたものなのだ。
本句集の装釘は、君嶋真理子さん。
扉。
本句集には、口絵がたくさん挿入されている。
妻・田中里子と (平成十四年撮影)
昭和25年のおふたり(右頁)と、
ご自宅の庭先にある句碑。
色紙と短冊。
句集の最後に、曾孫のそらちゃんより。
(ふらんす堂「編集日記」2023/11/27より抜粋/Yamaoka Kimiko)