坂内文應句集『天真』(てんしん)。
 
 

 
A5判変形ハードカバー装帯有り 242頁
 
 
著者の坂内文應(さかうち・ぶんのう)さんは、昭和24年(1949)新潟県生まれ、新潟県加茂市在住で、曹洞宗瀧澤山雙壁禅寺のご住職である。俳歴は、昭和45年(1970)坂卷英一郎の誘いで大岡頌司「鵞」、安井浩司「唐門会」に参加。平成5年(1993)長谷川櫂「古志」創刊より師事、入会。平成25年(2013)中田剛、羽野里見と俳誌「白茅」創刊、共同代表。飴山實、安井浩司、高橋睦郎、長谷川櫂に親炙私淑し現在に至る。本句集は、第1句集『方丈』(平成13年花神社刊)に次ぐ第2句集である。序辞を高橋睦郎氏が寄せている。
 
 
本句集の装丁は、間村俊一さん。
 
ご本人のたつてのご希望である。
 
間村さんの装丁によって、工芸品のような一冊が出来上がった。
 

 
 

 
題字はツヤなしの銀箔。
銀箔の使い方はむずかしい。
多くは地味になってしまうのである。
間村さんは銀箔を華やかに使用する魔法をもっている、っていつも思う。
図版のカラ押しと題字の銀箔押し、すこしもうるさくなっていない。
 
 
 

 
 

 
一色刷りに見える帯であるが二色刷りである。
このへんの配色は心憎いばかり。
 
 

 
 

 
表紙の布クロス。
グレーの糸と紺の糸が織り上げたものでグレーにも紺にも見える。
 
 

 
図版をカラ押し。
 
 

 
角背、銀箔押し。
 
 

 
見返しは深いあずき色。この色がなんとも奥深い。
 
 
 

 
扉。
ここに記された文字はすべて意味があり、著者のご希望によって間村さんがレイアウトをした。
すごく面白いと思う。
 
 
 

 
シャープな角背。
花布も栞紐も見返しに響き合ったあずき色。
 
 

 
 

 
 

 
 

 
堂々とした格のある一冊となった。
 
 
 
 
 
(ふらんす堂「編集日記」2019/11/06より抜粋/Yamaoka Kimiko)