久地楽桃子句集『道すがら』。
四六判ハードカバー装。 148頁
著者の久地楽桃子(くじら・ももこ)さんは、1931年(昭和6年)のお生まれ、今年85歳になる方である。「お宅が近くていいから」とご近所のよしみでふらんす堂より句集を刊行された。
本が出来上がるまでに何度かふらんす堂にご来社くださったが、自転車でいらっしゃったことがあったかもしれない。
とても溌剌としてお元気なご婦人である。
略歴をみると2001年から2011年にカルチャーセンターで金子兜太氏とその門下の安西篤、武田伸一の両氏の下で俳句を学ぶ。
その10年間の学びを一冊にしたのが本句集である。
ご子息は、本づくりにも興味を示されて、お母さまのために装釘もなさった。
お母さまと一緒に何度かご来社いただき、用紙やクロスを選んだり、文字の大きさなども決められた。
「色はピンクに」というのが強いご希望だった。
タイトルの文字は白箔押しに。
ピンク色の用紙も、和紙の風合いのある上品なものを選ばれた。
ピンク色はむずかしいのだが、このピンク色は可愛らしく下品にならず著者の久地楽さんの雰囲気をよく表している。
お名前も桃子である。
見返しにも同じ用紙を使っているが、やわらかな表情をまとっている。
表紙の表のタイトルは型押し。
なんとも上品な仕上がりとなった。
出来上がってきた本句集を手にとって、わたしは驚いた。
まさに久地楽桃子さんそのもののイメージなのだ。
明るくて、翳りがなく、溌剌とした品の良い老婦人。
息子さんがお母さまのために心をくだかれた心づくしの一冊となったのである。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/09/21より抜粋/Yamaoka Kimiko)