小山玄紀句集『ぼうぶら』。

菊判変型小口折カバー装函入り。200頁 二句組。
著者の小山玄紀(こやま・げんき)さんは、平成9年(1997)大阪生まれ。平成28年(2016)「群青」同人。櫂未知子、佐藤郁良に師事。俳人協会会員である。本句集は第1句集であり、序を櫂未知子氏、跋を佐藤郁良氏が寄せている。句集名「ぼうぶら」は、南瓜の別名であるということ、わたしも始めて知ったのであるが、かぼちゃを意味するポルトガル語「abobora」が由来であるらしい。
小山玄紀さんは、小山玄黙という名前で「群青」に作品を多く掲載してこられたが、この度句集を上梓するにあたって「玄紀」という俳号によるものとした。そして本句集には、有季定型の句のみならず無季俳句をすくなからず収録するという決断をされたのだった。

本句集の装釘は君嶋真理子さん。
おもいっきり「ぼうぶら」らしい美味しそうな色の一冊となった。

函は背のない筒状のスタイル。
ぼうぶらの装画がちいさく配されている。
本体を取り出す。

明るいぼうぶらの中味があらわれる。


カバーは小口下り表紙に掛けられている。


表紙本体。

見返し。

扉。


天アンカット。

ちょっと遊んでみた。
わたしはこういう造本がすきである。
本の材質やそのつくりを楽しみながら、本の世界へと分け入っていく。
そういう段取りのある一冊。

この一冊にそんな複雑な段取りがあるとは感じさせずに澄まして立っている句集『ぼうぶら』。
(ふらんす堂「編集日記」2022/12/1より抜粋/Yamaoka Kimiko)