下山光悦歌集『ギリシャの風』。
A5判ハードカバー装 268頁 私家版
大中寺は、臨済宗妙心派の禅寺とある。格式と由緒のあるお寺であるようだ。下山住職は、詩歌への関心が高く、ご自身が短歌をつくるのみならず、平成11年(1998)に
駿河梅花文学賞を創設し、平成20年(2008)までの10年間にわたって継続した方である。この10年間には歌人、俳人、詩人の力ある方々が受賞されている。
またたいへん交際範囲の広い方で、本歌集を読めばそのことはおのずとわかるが、本歌集はある意味、下山住職のこれまでの出会った人々や自然、もの、宇宙あるいは歴史への挨拶の歌集であるのかもしれない。
本歌集『ギリシャの風』は、
前歌集『寂光』につぐ第3歌集となる。装画とカットは日本画家の畠中光享氏によるもの、 解題を歌人の島内景二氏が寄せている。
本歌集の装幀はほとんど自装であると言ってもよいかもしれない。
こちらでレイアウトなどはお手伝いしたが、細部にわたって下山氏のこだわりが貫かれている。
独自の美意識がある方がである。本文のレイアウト、活字の大きさ、用紙へのこだわり、本歌集をよめばいかに下山住職が美というものを意識しておられるかおのずと分かってくる。
カバーの背。
見返し。
青と黄色のツートンカラー。
カバーをひらくと。
こちらも同じように。
表紙。
文字は白の箔押し。
オリーブの絵を型押し。
扉。
ところどころにカットを配する。
本文中にある1枚の写真。撮影は下山氏。
古代ギリシャの聖地。四世紀にテオドシウス帝により、キリスト教の名において、アポロンの神託が禁止され、その後廃墟となる。
と本文に記されている。
花布とスピン。
ブルーへのこだわりもまた下山氏による。
(ふらんす堂「編集日記」2018/12/26より抜粋/Yamaoka Kimiko)