岡山晴彦戯曲作品集『譚詩劇 女鳥』
A5判ペーパーバック装。 340ページ。
ふらんす堂としてははじめての戯曲集である。
譚詩劇とある。
譚詩とは、バラードの謂いで故事・伝説などを題材とする近代の詩形。物語詩。とある。譚詩劇とは、故事・伝説などを題材とした物語詩を戯曲の形で表現したものであるか。
著者の岡山晴彦(おかやま・はるよし)さんは、1933年熊本生れ。川崎市在住。うかがうところによると企業人としての職務を終えるころから文学に傾倒され詩を書き戯曲を学び、すでにふらんす堂より
第1詩集『影の眼』(2010)を上梓されている。日本現代詩人会会員、文芸誌「Pegada』同人、詩誌『衣」同人。
この戯曲集『女鳥』は大冊である。全部で8篇の戯曲を収録。タイトルの「女鳥」はその作品のひとつをとったもの。それぞれの作品には、それに響き合うかたちで詩が付けられている。
目次を紹介したい。
目次
綺羅の鼓 枯野譚 水上の森(詩)
金銀の眼 ひとり語り 秋の蕾(詩)
野いばら 落城三代 シシュフォス(詩)
肥後石工水之口橋別離 石橋の伝説 石橋の声(詩)
大川心中物語 石橋の伝説 日照雨 (詩)
二ノ腕 ひとり語り 恵比寿の目(詩)
女鳥 譚詩劇 アトモスフィア(詩)
タイトルとなった「女鳥(めとり)」について少し紹介したい。
古事記にその題材をとった譚詩劇であり、「女鳥」とは「女鳥姫」のことであり、この女姫鳥姫と隼(はやぶさ)王子を中心に展開する一大ロマンである。
巻末に著者によるそれぞれの作品についての注が付されており、読者の理解を助けてくれる。
本著の装釘は、詩集『影の眼』と同じく和兎さん。
和兎さんも本著に眼を通し「面白かった」ということ。
厚い一冊となるので、できるだけ読みやすいものとなるようにシンプルさを心掛けた。
扉。
本書の内容の豊かさにふさわしい堂々とした一冊となった。
(ふらんす堂「
編集日記」2016/10/16より抜粋/Yamaoka Kimiko)