『鈴木明全句集 今日』(すずきあきらぜんくしゅう きょう)
四六判背継上製カバー装函入り 536頁 7句組 跋 年譜 初句索引 季語索引つき
俳人・鈴木明(1935~2021.5.28)の全句集である。
本句集は、句集『独神』、『写楽』、『白-HAKU』、『〇一一年一月』、『甕 Amphora』の五句集に増補版「今日」を加えた全句集である。跋を岡田路光氏が書かれ、年譜は鷲ケイジ氏編による。
岡田氏の跋文は、鈴木明の作品を詳細に分析し、「テーマ」「表現技法」「季語の使い方」「音律感覚」について懇切に言及した渾身の鈴木明論である。
本句集の装釘は、和兎さん。
鈴木明氏は、たいへんおしゃれな方である。
故に、本作りにこだわられた。
函入りのものにしたいこと、背継ぎ表紙がいいこと、1頁にたくさんの句をいれないこと、などなど。
そのご希望をとりいれながらの本作りとなった。
版元としては嬉しい本作りである。
もはや、函入りや背継ぎ表紙などそれを希望される方は少なくなりつつある昨今だ。
職人さんが素晴らしい製本技術をもっていてもそれを発揮する場がない。
こんかいはおおいに発揮してもらった。
函の文字は金箔押し。
帯には薄く模様をしき、函の天地と見返しと扉にその模様を配した。
髪質は材質感のあるもの。
背継ぎ表紙。
紺色の布クロスと平面は淡いベージュの布クロス。
背の金箔がはえる。
金のラインが美しい。
金色の花布をあしらい、丸背のカーブを美しく。
見返し。
扉。
口絵。
口絵裏。
紺と白栞紐。
本は美しく開く。
添えられた謹呈用紙。
ここには、辞世の句が記されている。
天涯の至純至白の滝の壺 鈴木 明
謹呈用紙はあらかじめ普通の謹呈用紙がすでに刷られていたということである。しかし、亡くなられてすぐにこの辞世の句(あらかじめいただいていた)を印刷して謹呈としたということである。
(ふらんす堂「編集日記」2021/7/1より抜粋/Yamaoka Kimiko)