山本耀子エッセイ集『季語のごちそうⅡ』。
四六判ソフトカバー装グラシン掛け 214頁
俳人・山本耀子さんの食をテーマとしたエッセイ集であり、
『季語のごちそう』(2005年刊)の続編となるものである。
タイトルからもわかるように、全体を四季にわけてその季節のさまざまな食材を選び、食材とはつまりおおかた季語でもあるのだが、それにまつわるエッセイを収録している。食材についての取り上げ方は、さまざまで、料理の腕がすばらしい著者でもあるので、その食材のおいしい食べ方であったり、あるいはその食材を美味く食べさせる店にまつわることであったり、食材が蘇らせる思い出であったり、つまりは食べることの幸せがたっぷりと書かれているのである。
この一冊を読むと、自分で食べたわけではないのだが、なんだかとても豊かで幸せな気持ちになってくるのである。
また、見開き2ページでおわる短いエッセイの最後には文章に響きあうように俳句がおかれていて、さらにエッセイを味わい深いものにしている。
心憎いエッセイ集である。
山本耀子さんは、俳誌「火星」の同人であり、本著に山尾玉藻主宰が序句を寄せておられる。
火と水を使ふしづけさ桜咲く 山尾玉藻
本書の装丁は、前回とおなじく君嶋真理子さん。
見返しは薄紫。
扉。
前回同様、本文を2色刷りに。
薄紫とスミ。
このページは目次。
96項目の目次。
ということはその数に近い食べ物が登場する。
すべてが見開きで終わるもので読みやすい。
本書は俳誌「火星」で連載したものを一冊にまとめたものである。
(ふらんす堂「編集日記」2019/5/4より抜粋/Yamaoka Kimiko)