四六判ソフトカバー装帯あり 188頁 二句組
俳人・朝吹英和(あさぶき・ひでかず)氏の第4句集となる。朝吹氏は、ふらんす堂より
第1句集『青きサーベル』(2003)、
第2句集『光の槍』(2006)、
第3句集『夏の鏃』(2010)の三冊の句集を上梓されている。この度の句集は4冊目となるものである。跋文を俳人の富田正吉氏、和久井幹雄氏。本文を2葉の挿画で飾るのは画家の勝間田弘幸氏。本句集もまた、前句集同様朝吹英和氏の音楽・美術への造詣のみならず氏の思考、嗜好などすべてを総動員したわたしたちをふくめた森羅万象への挨拶であり、氏の美意識に貫かれた俳句集である。
本句集をいろどるものに、画家・勝間田弘幸氏の装画がある。
「秋」と題され
長考の果てなる一手飛蝗跳ぶ
の句が寄せられている。
「緋色の・蝶々」と題され、
一面のロ短調から蝶生る
暮れなづむ緋色の刻や蝶凍つる
の句が寄せられている。
本句集の装幀は、既刊句集3冊をてがけた君嶋真理子さん。
今回も君嶋さんご指名である。
「いやあ、ふらんす堂の本みたいではないですね」といいながら、印刷会社のKさんが出来上がった本をもってきた。
「ああ、ふらんす堂の本としては派手よね。でも君嶋さんだから、やはり品がいいのよね」とわたし。
「光陰の矢」というタイトルにふさわしい、動きのある装幀となった。
タイトルは銀の箔押し。
カバーが派手な分、表紙は渋く。
扉。
(ふらんす堂「編集日記」2020/12/10より抜粋/Yamaoka Kimiko)