藤森万里子句集『初鏡』(はつかがみ)。
四六判ハードカバー装。220頁
著者の藤森万里子(ふじもり・まりこ)さんは、昭和14年(1930)三重県名張市生まれ、昭和42年(1967)に「濱」入会、大野林火に師事、平成9年「アカシヤ」入会、松倉ゆずるに師事、平成12年「百鳥」入会、大串章に師事、現在は「百鳥」同人、平成17年に「百鳥」賞を受賞している。本句集は平成13年(2001)から平成28年(2016)までの作品を収録した第一句集である。序句を大串章主宰、跋文を句座をともにされている小田玲子さんが寄せている。
であるが、本句集の装釘の魅力はなんといっても、装画にある。
この絵を描かれたのは、藤森さんの姪御さんで画家の黒木美希さんである。
この絵をいかに効果的に活かすか、それがすべてだった。
落ちついた渋い絵であるが、日本の伝統的な色使いが魅力的だ。着物の布のようでもあり、なんともシックである。見ていてあきがこない。ここに色を添えたくないと思った和兎さんであるが、赤のみをどこかに配して、女性のもつ秘めた艶やかさを演出したいと思った。
表と背のローマ字のみ赤をおく。
帯の文字も赤にした。
カバーをとった表紙は真っ白に。
そして赤メタルの箔をもちいた。
カバーに配した赤と表紙の箔の赤。
平は空押し。
見返し。
扉は光沢のある用紙に墨の一色刷り。
花布を赤に。
栞紐も赤。
多くの色を使っていないのだが、どこか華やいだ雰囲気がある。
本句集の装釘の仕上がりはやはりこの絵の素晴らしさにつきると思う。
著者の藤森万里子さんの心の陰翳を蔵しながらも華やかな一冊が出来上がった。
(ふらんす堂「
編集日記」2017/4/5より抜粋/Yamaoka Kimiko)