はじめに2010.3.1

 

「草のこゑー『桂信子全句集』を読む」

俳人桂信子は二十歳で俳句を作り始め,2009年12月16日に九十歳のその生涯を閉じるまで俳句を作り続けました。
2007年10月に刊行された『桂信子全句集』(宇多喜代子監修)には、桂信子の生涯の5218句が収録されています。2010年をむかえ、この戦後俳句を代表する女性俳人桂信子の作品を精鋭俳人32人が読み解いていきます。ここに登場する32人のほとんどは実際の桂信子に会ったという人は少ないと思います。一句鑑賞というかたちで、それぞれが一句を選びそれについて語ることによって桂信子という俳人の魅力が作品をとおして浮き彫りにされてくるのではないかと思います。あるいは新しい書き手によって新しい桂信子の顔があらわれてくることも願っております。
2010年3月1日からのスタートです。
一週間ごとに新しい書き手が加わっておよそ半年間つづきます。
さあ、いっしょに桂信子の作品への旅をいたしましょう。
なお、「草のこゑ」というタイトルは生前その句集の多くに草の字をあしらい、小さな草花に心をかよわせその草の緑の色がとりわけ好きだった桂信子にちなんで編集部でつけました。

 

全句集紹介

全句集

戦後俳句を代表する女性俳人・桂信子の作品五二一八句を収録。昭和の激動期より、90歳でその生涯を終えるまで俳句をつくり続けた桂信子の作品の全貌をとらえる。自らを律することに厳しく、鷹のごとき激しさをその内奥に秘めた信子の作品は、女性ならではの瑞々しい抒情性と清高の気品を湛えている。

 

【収録内容】
第1句集『月光抄』 第2句集『女身』 第3句集『晩春』 第4句集『新緑』 第5句集『初夏』 第6句集『緑夜』 第7句集『草樹』 第8句集『樹影』 第9句集『花影』 第10句集『草影』、「『草影』以後」の作品を納める。

 

【栞】
金子兜太 伊丹三樹彦 横山房子 室生幸太郎 松平盟子 坪内稔典 大木あまり 澤 好摩 仁平 勝 小澤 實

 

【解題】
宇多喜代子 年譜 丸山景子 吉田成子

 

( 季語別索引 初句索引)

 


 

桂信子 Nobuko KATSURA

1914年、大阪市生まれ。 大手前高等女学校卒業後、「旗艦」に初投句、日野草城に師事。
1945年、空襲に遭い句稿だけを持って避難。
1949年、第1句集『月光抄』を出す。
1970年に23年間勤めた会社を退職し「草苑」を創刊、主宰。
現代俳句協会顧問。 第1回現代俳句女流賞のほか蛇笏賞、勲四等瑞宝章など受賞。
2004年12月16日に90歳のその生涯を閉じる。

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