帝国ホテルで行われた俳誌「天頂」(波戸岡旭主宰)創刊20周年についてご紹介したい。

記念号は大冊である。372頁 厚さ18㍉
主宰特別作品70句と20頁におよぶ「能村登四郎の人と作品」と題した講話を記録したものが圧巻で読み応えがある。
「天頂創刊20周年に寄せて」の主宰の言葉を抜粋して紹介したい。
生きることは 感じること
感じるためには 揺れること
身を揺らし 心を揺らして
?
これからが 苦しみ
これからが 楽しみ
これからが 生き甲斐

ご挨拶をする波戸岡旭主宰。
人間って何だろうって、10才のころから答えを求めて苦しんでいます。わかりません、何の為に生きているかもわかりません。それはほんとうにむずかしい問題です。ただ分かることは、生きているということは感じることですよね、自分を感じることはできます。自分を知ることはできないけれど、自分を感じることはできる。感じることは生きていること、感じるだけでは心は揺れないこともある。心が自然に揺れて感動してくれればいいんですけれど、なかなかそうは行かない。それは自分で揺さぶらないといけない。揺さぶり続けることが自分が生きてることの証になるかなあと。23才くらいのそんなことを思い人生が軽くなった思いがあります。
ご挨拶の一部を抜粋して紹介した。
「生きていることは感じること」
「創刊20周年に寄せて」につながっていく言葉である。

本著についてはあらためて紹介したいと思うが、すこぶる面白いエッセイである。
本著には、瀬戸内海の小さな島で生まれ育った旭少年が高校生になるまでが収められている。
担当したyamaokaをはじめ、スタッフの緑さんも、この後のことが知りたくてたまんないのである。
高校からどうしていくんだろう。中学で終えたら働きに出される訳だった旭少年である。なんとか高校進学までこぎつけた。
それまでにいろんなことがあった。読んでいると心が震えてくるようなことばかり。
波戸岡旭という俳人は不思議な俳人である。
ちょっとハチャメチャな部分もあって、人を驚かせる、しかし、ニッコリと童心の笑顔で人を引きつけるのだ。
そしてなかなかの名文家である。
本書、読み始めると退屈して放り出すなんてことのない一書である。
波戸岡旭主宰、そして「天頂」の皆さま、
創刊20周年 おめでとうごさいます。
(ふらんす堂「編集日記」2019/11/25より抜粋/Yamaoka Kimiko)