第十回小野市詩歌文学賞2018.7.27

 

9日(土)に兵庫県小野市のうるおい交流館で行われた「第十回小野市詩歌文学賞」について紹介したい。

 

受賞されたのは、

 

「短歌部門」 河野里子  『硝子の島』
「俳句部門」 櫂未知子  『カムイ』

 

 

ふらんす堂からは句集『カムイ』の編集担当をしたPさんが出席した。

 

 

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櫂未知子さんのご挨拶を紹介したい。

 

 

 

 

櫂未知子でございます。
私の略歴を簡単に申し上げますと、北海道余市郡余市町出身でございます。
ニッカウィスキーの工場があることが有名で、NHKの朝の連ドラ「まっさん」の舞台になった土地でございます。またかつてのスキージャンプの日の丸飛行隊の笠谷選手が生まれた土地でもございます。そしてその次に、宇宙飛行士の毛利衛さんの出身、そして三人目が、私、ということになります(笑)。

私は俳句の世界で非常に跳ねっ返りで、「あなたのは俳句ではない」と第一句集、第二句集では散々言われました。

私は24歳の時に短歌を始めたのですが、短歌はぜんぜん向いていなかったんです。
短歌はいろいろと述べることができます、ところが私は述べたがり家なので詰め込みすぎてしまって逆にダメだと。
ある日、「あなたの短歌は五七五で終わっている」と有名な歌人の先生に言われまして、「じゃあ、俳句じゃないか!」と。すぐに角川の「俳句」という雑誌を買ってきて、見本誌を請求して俳句の結社に入ったんですね。
一冊目の句集は俳句をはじめて6年で出版しました。それは非常に叩かれました。その変わり、話題を呼びました。
二冊目はそれから4年後に出しました。それは私が再婚するときの結婚の引き出物ということで二冊目の句集を作りました。大笑いでございますね(笑)。

第二句集を出した後にだんだん俳句の仕事が増えてきまして、歳時記に係わったこと、それから各地のいろいろな俳句大会の選者を務めるようになったことによって、逆に俳句が怖くなっていったんです。
3冊目の句集が全然出せなくなりまして、丁度10年経ったときに「これじゃあいけない!もうそろそろ出さなければならない」ということで、一応句稿を用意したんですね。なんとか揃ったのが2月末でございました。それが2011年の2月末。前年の夏に母が亡くなった時の一連の俳句の評判がよかったので、それを入れて一冊作ろうかなと思っていたんです。「一瞬にしてみな遺品雲の峰」という句がその時の句でございます。
句稿をまとめて一週間位してからですね、3.11が起きてしましまして、紙もなく、そして句集を出す気にもならなくて、また延ばしてしまったんです。
そうしたら一緒に雑誌を始めた仲間に怒られまして、「しょうがない、出そうか」と句稿を見直してみたら2011年の2月にまとめておいた句が非常に色褪せて見えたんですね。
新たに選句をすると百数十句しかとれない。句集というのは三百句ないとダメなんです。ですから、その後の作品も一生懸命入れまして、この一冊になりました。

先ほど選評で宇多先生も仰って頂きましたが、この句集はですね、「俳人協会賞」も受賞して、その文言をいれて帯を刷り直していただいたのですが、その帯が刷り上がった何日か経った後にこの「小野市詩歌文学賞」を頂きました。その時にまた帯を刷り直してくださったんです。感激しました。なぜ感激したかと申しますと、この「小野市詩歌文学賞」がぜひ欲しかったことがまずひとつ。そして句集というのは歌集に比べまして、賞がないんです。ほとんどないんです。昔自治体の句集の賞があったんですが、平成の大合併でみんななくなってしまったんです。短歌がうらやましくてしょうがないんです(笑)。
ですから句集でW受賞というのは非常に珍しいのです。

先ほどの川野さんの介護の歌を拝見して、私の母の句を並べて読んでみると、やはり同じ定型でも詠み方が全く違うということ。俳句は断定することができるけれども、徹底することはできないですね。ですから詩型のちがい、それぞれの定型詩の良さというもの、特徴というもの小野市詩歌文学賞を通して知ることができました。
宮城県の加美町の句集賞を第一句集いただいた事があって、それから20年近くなんの賞にももらってないなあと思って、当たり前です、私句集を出してないんですから。
今回は2冊分の賞をもらったような気持ちになっております。
この街とは縁もゆかりもない私にこの賞を授けて下さったこと、御礼申し上げたいと思います。
いろいろなことがありましたが、俳句を続けてきて、この句集を出版して、本当によかったと思っております。
皆さま、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

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ご挨拶をされる櫂未知子さん。

 

 

「先ほどの川野さんの介護の歌を拝見して、私の母の句を並べて読んでみると、やはり同じ定型でも詠み方が全く違うということ。」

 

というご挨拶の言葉があったが、おふたりのそれぞれの短歌、俳句をふたつずつ紹介します。

 

 

 わが裡のしづかなる津波てんでんこおかあさんごめん、手を離します   川野里子
 母よりはわれがわれよりは子が生き残るべきなり白い椿は咲きて      〃

 一瞬にしてみな遺品雲の峰    櫂未知子
 なほ母をうしなひつづけ霧ぶすま   〃

 

 

 

川野里子さま、櫂未知子さま
第十回小野市詩歌文學館賞のご受賞おめでとうございます。
心よりお祝いを申しあげます。

 

 

 

 

 

(ふらんす堂「編集日記」2018/6/11より抜粋/Yamaoka Kimiko)

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