鈴木明先生を偲ぶ会2022.6.3

 

今日は、俳人の鈴木明の忌日である。

 

昨年の今日、亡くなられた。

 

本日、麻布善福寺で一周忌の法要があり、ホテルニューオータニにて、「鈴木明を偲ぶ会」が行われた。

 

 

『鈴木明全句集』を担当したPさんが出席。

 

01

 

『鈴木明全句集』は、鈴木明氏のご存命中に間に合わすことができ、手に取っていただけたのだった。

 

 

02

 

ご挨拶をされる鈴木明夫人の山本敦子氏。

 

敦子夫人は、明氏の亡くなる前の一週間について語り、明氏は、辞世の句を詠まれて敦子夫人に渡されたという。それがつぎの一句。

 

 天涯の至純至白の滝の壺

 

この一句は、辞世の句として全句集の謹呈用紙に記されたものである。
出来上がった全句集の見本をお届けした日のことについては、お二人で頁をめくって喜びあわれたという。

 

 

最後まで俳句のことを気にしておりました。明さんは立派な堂々とした最期でした。

 

 男で死にたい梅雨の羅漢の頭撫で

 

という俳句がありますが、本当に男で死んだと思います。
本当にありがとうございました。

 

とご挨拶をされた敦子夫人であるが、亡くなられてから今日まで、涙の涸れる日がなかったということである。

 

この「偲ぶ会」には、俳句関係の来賓としては、高橋睦郎、筑紫磐井、高山れおな、の各氏が招かれ、それぞれがご挨拶をされた。
「野の会」「実の会」の人たちがたくさん集い、鈴木明氏を偲んだ。

 

 

 

 

今日は、鈴木明氏を偲び、全句集より作品を数句記しておきたい。

 

 野菊咲く駅から見える次の駅
 ト書きのように女駆け出す小諸の秋
 揚雲雀梯子を縦に運ぶ空
 沙羅の花前世もたぶんこんな俺
 君たちのいじめ知ってるぼくバナナ
 掛軸の美しき嘘冴えかえる
 めまといやふと二の腕を嗅いでみる
 笑う馬の桃色歯茎雪来る頃
 たましいを水色にして寝冷えの子
 雪虫や昭和といつかはぐれたり
 俺おれおれと広がる俺や穴惑い
 キャベツ畑徴兵制が粛々くる
 死ぬ死ぬと言い死なぬ俺冬青空

 

03

 

亡くなる直前に出来上がり、手にとっていただけた『鈴木明全句集』。

 

 

 

 

 

 

 どこからが戦後舌出し蛇いそぐ   鈴木 明

 

 

 

「俳句づくりも、結局はいい読者に恵まれることしかない。句集をひらいて私の俳句に、一人でも多く感応する読み手があれば、本を出した甲斐がある。」(鈴木明・『寫楽』(あとがき)より)

 

 

(ふらんす堂「編集日記」2022/5/28より抜粋/Yamaoka Kimiko)

 

 

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